クロマイト砂は、クロム、鉄、酸素を含むスピネル鉱物であるクロマイト(FeCr₂O₄) を主成分とする天然の鉱物砂です 。高い熱安定性、耐金属浸透性、優れた熱伝達特性で知られており、特に鋳造や金属鋳造といった産業用途において貴重な材料となっています。
クロマイト砂の主な特性:
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高融点(約 2,150°C): 極端な温度に耐えるため、高温鋳造プロセスに最適です。
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高い熱伝導率: 鋳造品の急速冷却を助け、凝固時間を短縮します。
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化学的に不活性: 溶融金属 (鋼、鉄、非鉄合金など) との反応に耐えます。
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低熱膨張: 加熱時の金型の割れや寸法変化を最小限に抑えます。
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高密度 (~4.5 g/cm³): 優れた金型安定性と金属浸透に対する耐性を実現します。
クロマイト砂の用途:
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鋳造および金属鋳造:
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鋼、鉄、アルミニウムの鋳造における鋳型砂として使用され 、滑らかで欠陥のない表面を生成します。
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コア製造 や表面砂加工の際に、焼き付きによる欠陥を防ぐためによく使用されます 。
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耐火物産業:
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耐熱性があるので耐火レンガや炉のライニングに使用されます 。
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化学産業:
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化学プロセス用のクロムの供給源 。
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その他の用途:
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サンドブラスト や特殊コンクリートの骨材として使用されることもあります 。
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珪砂に対する利点:
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耐熱性が高い (珪砂は約 1,710°C で溶けます)。
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熱衝撃に対する耐性が向上します。
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砂の膨張による欠陥が起こりにくくなります。
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シリカ関連の健康被害(珪肺症)のリスクを軽減します。
デメリット:
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珪砂よりも高価です。
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入手可能性が限られています(主な供給源は南アフリカ、インド、カザフスタンなど)。
結論:
クロマイト砂は高品質の鋳造材料であり、特にシリカ砂では鋳造が困難となる高温鋳造用途において有用です。その独自の特性は、鋳造品質の向上、欠陥の低減、そして金属加工業界における生産性の向上に貢献します。